今日は、
りるさん、32歳、女性、実家暮らしの方からの投稿だガー
私は32歳の実家暮らしです。
私の母は山登りが趣味で、週に一日、車で行動できる範囲でトレッキングに出かけています。
最初は近場の山を散歩がてら巡っていたようですが、慣れてきたのか、それにも物足りなくなり。最近では、適度に険しい山を求めて登頂後の景色と達成感を楽しんでいる模様です。
同じ山を何度も登るよりも、知らない未知の経験を求めているようで、週ごとに違う山、登ったことのない山へと赴(おもむ)いています。
今日はそんな母から聞いた話です。
ある日、母はいつものように車に乗り、トレッキングに出かけました。
天気は良好、いつもと違った刺激を求めて、ワクワクしながら山登りを開始したのだと思います。
近場の山、という事はあっても、なんせ初めて登る山なので、当然土地勘もなく、勝手もよくわかりません。
登り始めたはいいものの、ここは正規の道なのか、それとも脇道なのか。獣避(けものよ)けのフェンスなんかもあって、「少し逸れてしまったかな…」と心配もしていたようです。
それでも初めてながらに、先へ進まないと、置いてきた車へ戻る事もできません。迷いながらも、何とか車道へと出たそうです。
しかし、このままでは今自分がどこにいるのかも、どこへ向かっていいのかもわからない…。「無事に帰れるかな」という不安の中、偶然通りがかった車に思わず手を上げ、引き留めます。
「ここはどこですか?この場所へ行きたいのですが、この道で合っているのでしょうか…?」
不安な思いを抱えながら、懸命に自身の思いを伝えた母。
戸惑いながらも、車を止めて話を聞いてくれた相手の方。
ひとまず伝えたい事を言い、おおまかな道を教えてもらい、そこで別れました。
そしてまた同じ道を歩き続けた母ですが、しばらく歩いていると、前方から見覚えのある車が一台来ました。
それは先程、道を尋ねた車だと気づいた母。
どうやらその車の主は、Uターンして、わざわざ母の為に戻ってくれたようなのです。
「乗りますか?」
困り果てていた母に、そう一言告げた運転手。
慣れない道にクタクタになっていた母は、その優しさにほろりとしながら、感謝の一言。
「ありがとうございます」
世の中、とても親切な人がいる。
無事に家に着き、「聞いて聞いて!」と興奮する母。
その話を耳に入れた私は、見ず知らずの人の優しさにとても心がほっこりしたものでした。